なろうって面白いな
ここに一つの小説がある。書き始めたばかりの話だ。王道ともテンプレとも言われそうな始まり。それでも彼は何かを訴えたいのだろう。
あるいはただたくさんの小説を読んで自分でも書いてみたくなったのか。
彼の話は中々進まない。水中でもがいているようだ。夢の中で上手く走れないのにも似て足踏みしているようにも読める。
平坦な文章もやがて一つの山場を迎える。彼の軍団は最強だ。異世界では赤子の手をひねるようだろう。
何故か彼は躊躇に躊躇を重ねる。クライマックスは人知れず終わることになる。稚拙な文章力も少ない語彙なのも読む小説さえなろう作が多いからなのか。
しかし読むと愛おしくなる。彼がその後幾つも書いて、あるいは何年も経ったら読み返して欲しい。彼は身悶えるだろうか。
そこには書きたいという根源的な力を感じるだろうか。その処女作にその後幾つも書き上げられるような大きなエネルギーが、どうか詰まっておりますように。